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今さら指輪物語・ロードオブザリングの感想5 〜日本語版小説の感想〜

※これは押入れから発掘された、10年以上前のHDDに保存されていた文章です。そのまま晒しています。

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2004.2.18

 

指輪物語(日本語版小説)

 

 

  • 下記はかなり辛口だけど、原作の持つ完璧な世界観、色々な種族や国々の描写は素晴らしいと思うし、登場人物の行動、勇気、愛情、誇りなどの描写には本当に感動した。だからこそ、感情的に入れ込みすぎて下記のような感想になっているのをご了承願いたい。

 

  • つまらない小説なら読まずにいられるのに、面白い小説だからより一層、これだけ精神的葛藤があると読むのが辛いものがある。私にとって色々な意味で切ない小説だ。

 

  • 映画「旅の仲間」を鑑賞後はガンダルフが大好きだったのに、原作読後は素直に「好き」とは言えなくなった。同じく、アラゴルンもあんまり好きじゃない。

 

  • 映画でボロミア大好きになった私としては、原作はボロミアの死を受け入れて消化するには愛情が足りなすぎる。(映画でも足りないんだけど、映像なだけまだ受け入れやすい。)それは、ガンダルフアラゴルンがあまりに高みの立場から物事を見ていて、ボロミアみたいな普通の人間のことはぞんざいに扱っているという印象を受けるから。

 

  • ボロミアの死に対し、掛値なしの愛情ある言葉をかけてくれたのはセオデンとエオメルだけだったと思う。(なんで他国の人が?と思う一方、やっぱりローハン最高!という思いもあり。)ガンダルフも一応、「人の上に立つべき貴人」「辛い試練」とか言ってくれてるけど、その後結構けなしてるし、そもそも旅の仲間だったのにあまりにフォローしなさすぎじゃない?もっと愛情かけてくれても良かったじゃん!ガンダルフ程の人は、人の好き嫌いはしないで欲しいよ。ファラミアみたいな出来のいい人間しか相手にしないとしか思えない。

 

  • あとフロドも結構酷い~。ボロが狂気で豹変してしまったとはいえ、「悪に落ちた」とか言わないで。あと「信用できない者もいるし」ってボロレゴギムのことですか?レゴギムとの絡みが全然なかったから信用できないの?メリピピもそうだけど、それに対しアラゴルンに対する絶大な信用、なんで?

 

  • 原作って、登場人物の扱いがはっきり2種類に分かれていると思う。ガンダルフアラゴルン、フロド、ファラミア、エルロンド、ガラドリエルに代表される「優秀な人」とその他の人と。ガンダルフはそれでも、逆切れしたり感情的な一面もあるけど、アラゴルン、ファラミアなんかは全く非の打ち所が無い人間として描かれていて、どんな内容であれ、欠点は一文字も書かれていない。それに対し、フォローもなくボロクソに書かれている人もいるし。差がありすぎる。

 

  • 欠点がない人なんてありえないし、誰だって間違うことはあるのに、原作のこういうあまりに差別的な描写はちょっと気持ちよくは受け入れられなかった。その延長線上にボロミアの死が消化できないっていうのがあると思う。

 

  • 原作を読むに従い、「血統」が最重要視されているのがどうも納得できない。「アラゴルンが人格的に完璧なのは「正統な王の血筋」だから。」だなんてこんなの納得できないよ。人間に限らず、エルフもそうだけど。

 

  • 同じく私の大好きなレゴラスの扱いがあんまりだ。最初、映画を見てレゴ好きになったのはレゴがエルフだから、と思ってたけど、映画を何度も見て原作も読んだ今、一番好きなのはスランドゥイル王で、次点がレゴラス。しかもレゴ好きなのはあくまでもレゴがスラ王の息子だから。で、エルフ好きだからレゴ好きなのではなく、嫌いなエルフもいる。原作のレゴは立場的にエルフ代表なのにも関わらず、代表らしいことはほとんどしておらず(代表として意見を求められたことは一度もない。代表なんて建前でただの飾りじゃん!)、おいしいところはエルロンドの双子とかに持っていかれ、(双子の方がよっぽどエルフ代表みたいだ。)レゴだっているのに、他のエルフが登場する度に必ず、「エルフはすごい」的な描写がされる。レゴの立場は!?といつも歯がゆい思いをしていた。(むしろ、レゴ好きなのは扱いが酷いから判官贔屓ともいえる。)

 

  • エルロンド、ガラドリエルも、旅の仲間(ボロ除く)から絶大な信頼を得ているけど、私からすれば、旅の仲間や人間の国が危険にさらされている時に、自分たちは安全なところでのうのうと暮らしている人が、なぜこんなに神のように崇められているのか、全然理解できない。裂け谷、ロスロリアンが人間にとって桃源郷だからなのかな?レゴもエルフだけど、レゴは一般階級で、ここのエルフは貴族階級のようだ。